嘘と微熱と甘い罠
「意味わかんねぇ。なんだってこんな日に仕事とってくんだよ」
「時間に縛られずに話ができたから…かな?」
「成功の理由なんて聞いてねぇし」
自分がとった仕事ができる。
はじめの一歩を踏み出したばかりだけど…いやだからこそ。
やってみたいことが溢れてくる。
自分の思うイメージと、お店のイメージと。
2つが混ざりあってグルグル、グルグル。
楽しくて仕方ない。
「…で?俺はなにすればいいわけ?」
「え?」
自分のデスクのパソコンのロックを解除した相良は。
半ば呆れたようにため息混じりにそう言った。
「お前他にも案件抱えてるじゃねぇか。ひとりでできる量かよ」
「あの、ね…実は課長が…」
「それに」
さっき課長に言われたことを相良に伝えようとしたら。
相良は私の言葉を遮った。
「お前のこと、俺以上にわかってるやついるわけねぇだろ?」