嘘と微熱と甘い罠
笠原さんが言ってる“お前ら”ってのは。
私と相良のことらしい。
確かに相良とは同期入社だし、言いたいことも言い合える。
でも。
それは“仲良い”とは違うと…。
「どこがです?」
同じことを思ったのか。
自身の前に置いてある枝豆をつまみながら。
相良が笠原さんに聞いた。
「言いたいこと言って、ケンカもして、それでも笑い合って。大人になると同性でもなかなかそうはいかないと思うぜ」
まして異性じゃ余計だろ、と。
そう付け足して。
笠原さんも相良がつまんでる枝豆に手を伸ばしながら。
私と相良を交互に見た。