嘘と微熱と甘い罠

笠原さんが言ってる“お前ら”ってのは。

私と相良のことらしい。

確かに相良とは同期入社だし、言いたいことも言い合える。

でも。

それは“仲良い”とは違うと…。





「どこがです?」





同じことを思ったのか。

自身の前に置いてある枝豆をつまみながら。

相良が笠原さんに聞いた。





「言いたいこと言って、ケンカもして、それでも笑い合って。大人になると同性でもなかなかそうはいかないと思うぜ」





まして異性じゃ余計だろ、と。

そう付け足して。

笠原さんも相良がつまんでる枝豆に手を伸ばしながら。

私と相良を交互に見た。




< 31 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop