嘘と微熱と甘い罠

今日は休みだったはず。

なのにガッツリお仕事モード。

ため息が出そうなこの状況なのに、なぜか仕事が捗るのは。

自分のやりたかったことができているから、それだけじゃない。





「なぁ、これって過去データと原案の比較をすんだよな?」

「うん」

「じゃあ表…いや、グラフでいくか」

「あ、それいいね」

「ん、おっけー…っと」





私自身、画面から目を離さずに。

カタカタとキーボードを叩いている相良を盗み見るように視界の隅に入れた。

相良は私以上に私の考えもやり方も理解している。

だからこその安心感と信頼感がそこに存在する。

時にぶつかり、時に共感し。

そんなことを繰り返しながら私たちはやってきた。

…改めて思う。

さっき相良が言ったように。

相良以上に私のことをわかってる人なんていないんだ。




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