嘘と微熱と甘い罠
それが相良の唇だと瞬間的に理解でき。
ドクンッとひとつ、心臓が大きく跳ねた。
「ちょっ…さが…ッ!?」
「早く閉じて」
「だって…ッ!!」
「止めて欲しけりゃ、早く閉じれば?」
そう言いながら、一度だけじゃない。
何度も、何度も柔らかい感触を落とし続ける。
その感触に、意識を持っていかれそうになるのをグッと堪える。
…もう、パソコンなんてどうでもいい。
閉じなくったって話はできるんだから。
たった4文字。
たった4文字の言葉を声に出せば済む話。
そうしたら。
なにも考えず、手放しにこの甘さに溺れてしまうことができるんだ。
「ね、ねぇ…相良…」
「なんだよ」
「話したい、から…ちょっと止め…」
「なら早く閉じな。閉じたら止めてやる」
そう言いながらも相良の唇は私の首筋に触れる。
焦らすように、焦れるように。
煽るように、煽られるように…。
…ほんともう、無理。
腰から下の力が抜けかけたその時。
本当に予期せぬことがおきた。