嘘と微熱と甘い罠
ぐぅぅぅぅぅぅ。
「!!!!!?????」
相良の行動も、私の行動も。
全てを遮るかのように。
何とも言えない、でも誰でも聞いたことのある。
そんな豪快な音が、私のお腹の底から這い出してきた。
それは誤魔化しようもなく、相良の耳にも届いてしまったらしく。
「…この状況で、それかよ…」
呆れたように言葉を吐いた相良は。
項垂れ、ハァァァとわざとらしいくらいのため息をつきながら。
私から体を離した。
でも。
肩は小刻みに震えてて。
「…笑うならちゃんと笑ってくれる?」
「いや…プッ…」
恥ずかしいやら、情けないやら。
でも体は正直に空腹を知らせていた。
気づいてしまった空腹感に抗える術は。
生憎持ち合わせていなくって。
口元を隠し、笑いを堪えている相良を横目に。
私はちょっと頬を膨らませながら、パソコンを閉じた。