嘘と微熱と甘い罠
「こんなもんで悪いけど」
「いやいや、とんでもない」
戻ってきた相良の手には2つのお皿。
どうやらおつまみを作ってくれてたらしい。
前に来たときもそうだったけど。
ありあわせでパパッと作れるってすごいよね。
しかも。
「可愛い!!美味しい!!」
「たいしたもんじゃねぇって」
パパッと作ったにしてはクオリティーが高すぎる。
味だけじゃない。
見た目もかわいくって、食べるのがもったいない。
そう思いながらもグラスを傾ける相良の前でがっついてる私。
これってどうなのよ?
なんて。
自分の女子力の低さを目の当たりにしたら。
相良に自分の気持ちを伝えることが、無謀なことに思えてきた。
…うーん。
どうしよう。
やっぱ、やめといた方がいいのかな…。
なんて。
弱気な自分がチラチラ動こうとした時。
相良が小さく吹き出した。