嘘と微熱と甘い罠
テ-ブルの角を挟んで座っているのは。
言葉を遮った後、ほんの少し気まずそうに目を逸らす相良。
そんな相良を見て目を見開き、何度か瞬きをしたのは。
伝えようと決めたあの言葉を、なんで遮られたのかわからない私。
え?
なに?
なんで遮られたの?
理由なんてわからない。
「…話、あんだろ?」なんて話すよう促したのは相良なのに。
なぜ?
なんで?
どうして?
相手は良くも悪くも察しのいい相良だ。
この雰囲気の先に何があるか全く気づいてない、なんてことはないはず。
聞きたくないから?
じゃあなんで話すように促したの?
どこかでまだ笠原さんと繋がってる?
わけがわからなくて、頭の中がグルグルしてて。
ほんの数秒にも満たないような時間が、何時間も経っているかのように思えた。
「…違うから」
私の頭の中を見透かしたかのように。
相良はため息混じりに小さく言葉を吐いた。