嘘と微熱と甘い罠

そして。

そのまま笠原さんの視線は私に落ちる。





「残念ながらお前には女友達でも、俺には女にしか見えないからな」

「笠原さん…」





そう言って私の肩に。

そっと手をまわした。





笠原さんの今の言葉で。

相良の失礼な言葉を帳消しにしてやってもいいくらい。

胸の奥が温かくなる。





「…ゴチソウサマデス」





見つめ合う笠原さんと私を横目に。

相良は呆れたようにため息を吐いた。





笠原さんは先輩。

だけど、私の彼氏。

見た目もいいし、仕事もできる。

そのうえ優しい。

私にはもったいないくらいの彼氏だ。


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