嘘と微熱と甘い罠
ケータイを手にしたまま歩を進めたけど。
エレベーターの出前で一度足を止める。
…さっききたメールって。
まさか、ひょっとして…。
なんだかイヤな予感がして。
カフェスペースに寄り、メールを開いた。
…そして。
こういう予感は的中するものだと。
改めて思った。
【ごめん。急に取引先と接待になった。】
…やっぱり。
なんとなくイヤな予感はしていたけれど。
“ごめん”は見たくなかったな…。
メールの差出人は。
私がこれから会おうとしている人物からのもので。
今日の約束をキャンセルして欲しい、という意味のメールだった。