嘘と微熱と甘い罠

「ポスター以外に販促物ってあるんですか?って何も考えずに言えるんだぜ?
俺が今、そんなこと言ったら間違いなく課長に絞められる」

「アハハ、確かに。新人のうちの特権、ですよね」





軽くつまみながらお酒を飲んで。

アルコールが入ったせいでいつもより饒舌になる笠原さん。

仕事中とは違う、オフの笠原さん。

会社では見られない笠原さん。

そう思えば思うほど。

もっと違う笠原さんが見たくなる。

2人きりの時しか見られない、熱っぽい笠原さんを…。





「…どうした?」

「あ、いえ…」





私の視線に気付いた笠原さんが。

目を細めて顔を近づけてきた。





笠原さんはわかってる。

私が今、何を考えていて、

何を望んでいるのかを。





「…物欲しげな顔してる」

「…っ!!」





そう言って。

笠原さんは私の唇をそっと指でなぞった。



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