嘘と微熱と甘い罠
触れられた唇からなのか。
それとももっと深い場所からなのか。
どこからとも言えない熱が、身体の奥の方へと広がっていく。
「この後、どうする…?」
私の唇をなぞった指先で。
自身の唇に触れる笠原さん。
そんな仕草ですら私の熱を上げていく。
ねぇ、笠原さん。
私がなんて答えるか、なんて。
ホントは、わかっているんでしょ…?
「…笠原さん」
「なに?」
「場所、変えませんか…?」
私からの誘い文句は、これが精一杯。
顔も身体も熱い。
恥ずかしくて顔が上げられない。
笠原さん。
早くなにか言ってよ…っ。
俯いてる私の肩に。
ポン、と笠原さんの手がのった。
「…出ようか」
そう言った笠原さんは。
さっきと同じように目を細めて。
口元を緩ませた。