嘘と微熱と甘い罠

少し遠出。

ｱｳﾄﾚｯﾄに向かうため車はﾊﾞｲﾊﾟｽを走る。

見慣れた景色から風景が変わってきた頃。

快調に流れていた車は詰まり始め。

ｽﾋﾟｰﾄﾞを落とした。





「笠原さん、何か言ってた？」





ﾊﾝﾄﾞﾙを握り、前を向いたままだった相良が。

渋滞に飽きてきたのか、私の方を向いた。





「何が？」

「俺と出掛けるの」

「全然。笠原さんが相良に先輩命令出したんだし」





気にするどころか。

「楽しんでこいよ」だもんねー。

相良は信用されてるのか。

それとも相手にされてないのか。

笠原さんがどう思ってるかわからないけど。

相手は相良。

何かがあるわけがない。





「…の、割にはしっかりﾏｰｷﾝｸﾞされてんじゃん」





そう言って。

ﾄﾝﾄﾝ、と。

相良は自身の胸元を指差した。