嘘と微熱と甘い罠
男と女
初めて行った場所にテンションも高かった。
大満足の買い物もできた。
たくさん歩いた。
そして。
相良との距離がいつもと違った。
…キス、されるかと思った。
相良の手が私の口を塞ぐのと、顔が近づいたのがほぼ同時。
一瞬、頭が真っ白になった。
あんな間近に相良の顔なんて、ありえない。
仕事中に同じパソコン覗いてたってあんなに近くならない。
「抱きたい」なんて言ってみたり。
ほっぺにキスしてきたり。
手、繋いだり。
昨日までの同僚の距離感じゃない。
それが何なのか。
見えているようで、見たくないようで。
でもそれは。
私の思い上がりなのかもしれないけど…。
もう、わけわかんない。
でも。
今日の相良は私の知ってる相良とは違う。
同僚の相良じゃない。
私の知らない“男の人”だ。