嘘と微熱と甘い罠
絡んだ視線は。
私の身体の奥を捕らえて離さない。
動けない私を知ってか知らずか。
相良は距離を詰めてくる。
「…コレの理由、知りたくねぇ…?」
まぁ、教えてやるって言ったの俺だけど。
ククッと笑みを含ませながらそう付け加えて。
指先をツツッと滑らせたのは。
車の中で相良がつけた、紅いアト。
「…どうする?」
妖しい瞳の奥で、何を考えているんだろう。
何を思っているんだろう。
アルコールがまわってきたせいなのか。
“男”の相良のせいなのか。
身体の奥から熱が上がってくる。
「さ、相良…?」
「…ん?」
「…っ!?」
冗談だよね、と言いかけた言葉を。
飲み込んだ。
だって、相良の目は。
本気だったから。