嘘と微熱と甘い罠

「お前、信用しすぎ」

「さ、がら…?」

「ついでに警戒心もなさすぎ。
笠原さんだって、お前が思ってるような人じゃない」





呆れたような言葉とは正反対の、獲物を狩るような鋭い目に。

私は動けなかった。

ドクンドクン、と。

心臓の音だけがやたらと身体に響いて。

その音が身体中に熱を運んでいるような気がした。





「…抵抗しろよ、バカ」





目を逸らし、小さくそう呟いた相良は。

私の首元へ顔を埋めた。





「ちょっ…ヤダッ!!やめてよ!!」

「沈黙は暗黙の了解、だろ?」

「…ッ!!」





首筋に触れる相良の唇。

同時に服の裾から滑り込んでくる相良の手。

両足の間に差し込まれた相良の膝。





逃げようと体を捩っても。

身体は相良の重みから逃げられはしなかった。



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