嘘と微熱と甘い罠

とりあえず。

このｸﾞﾙｸﾞﾙ渦巻いてるお腹の中をｽｯｷﾘさせなきゃならない。

…そんな時はこうするに限る。





ひとりで勝手に納得した私は。

ｺｰﾋｰのﾌﾟﾙﾀﾌﾞに指をかけた相良に向かって言った。





「相良、飲みに行こう!!」

「は？俺、残業してんだけど」

「ｱﾘｽﾄの案件でしょ？明日手伝うから!!」





私の言葉に眉間にｼﾜを浮かべた相良だったけど。





「…奢りならつきあってやるけど」





呆れたようにそう言って。

待ってろ、と言わんばかりに

ﾋﾗﾋﾗと片手を振ってｵﾌｨｽに戻っていった。





ｱﾘｽﾄの案件の手伝いは私からの提案だけど。

飲みは奢りで、なんて。

相良のﾔﾂ、図々しいな…。





そうは思いつつ。

こんな日にお酒に付き合ってくれることには。

感謝しなきゃ…。