嘘と微熱と甘い罠
「…ん…ッ…」
「こんな状況で感じてんの?」
「ちが…やッ…」
耳元で囁かれる掠れた声。
滑るように触れてくる指先。
外気に触れる素肌。
落ち着かない呼吸。
私も子どもじゃない。
それが本能が理性を飲み込むのに充分な起爆剤になるってことぐらい。
身体が理解していた。
「…や…ぁッ…」
相良に与えられる刺激がもどかしい。
中途半端な焦らされ方に。
身体の奥の方が苦しいって、もがきはじめる。
その苦しさから解放されたくて。
私は相良を呼んだ。
「…相良ぁ…ッ」
「………ッ!?」
名前を呼ばれ、私の顔を見た相良は。
大きく目を見開いた。
が、すぐに視線を逸らした。