嘘と微熱と甘い罠
逸らされた視線。
身体を這い回っていた指先も動きが止まる。
「さ、がら…?」
熱は冷めない。
私は自分から相良の頬に手を伸ばした。
ほんのり赤く染まった横顔は熱を含んでいる。
逸らされた視線は何を見ているんだろう。
「相良…?」
もう一度、相良を呼んだ。
すると。
相良は苦しそうな表情を見せ。
私の頬に右手を添えた。
「…んな顔されたら、止められるもんも止まらなくなるっつーの…ッ」
「ん…やッ…!!」
言葉の後。
服の中で動かなくなっていた指先が。
指先だけじゃ足らないと、手のひら全部で触れてきた。
違う、焦らされてたんじゃない。
躊躇してたんだ。
それに気づいたのは。
「いまさら“待って”とかなしだからな」と。
熱を含ませた目で念押しをし。
服の乱れた私を抱き抱え、隣の寝室へと歩を進めた。