嘘と微熱と甘い罠
まぁ、何はともあれ。
とりあえずは朝イチから気まずい思いはしなくて済んだってわけだ。
よかった、よかった。
少しだけ軽くなった胸の奥。
仕事もはかどる気がしてきた。
…のも束の間。
始業後、人の少なくなってきたオフィスに。
今は聞きたくなかった人物の声が響いた。
「戻りましたー」
も…戻ってきた…。
なんで、こんな早く戻ってくるのよ。
ついでに外回りしてくるとか、そのまま笠原さんと仕事するとかあるでしょうよ!!
…って、笠原さんとそのまま仕事ってのは無理があるだろうけど。
とにかく今は顔を合わせたくないのよ!!
が、しかし。
そんなのは私の都合なわけで。
自分のデスクに戻った相良は。
全身に真っ黒いオーラを纏いながら私に言った。