先生、教えて。
「じゃあ言えよ。怒れよ。
俺だってデリカシーのないとこもあんだよ。
何で何も言わないでひとりで抱え込むんだよ!」
「好きな人に、他の人とキスしたことなんて言いたいわけないじゃん…。
先生、バカだよ」
八代はハッとなったように口をつぐむ。
「人の告白、テキトーに流して他に良い奴いるだろなんて遠回しに言って…。
先生だから仕方ないって言い聞かせてたんだよ?
なのに、こんなの……っ」
涙が出そうになって
出したくなくて、二菜は精一杯八代を睨んだ。
「あたしが誰と付き合おうと勝手でしょ。
もう構わないで!」
そう告げた途端、唇に柔らかい感触が落ちた。