先生、教えて。



─────

───────…




五年後。


「ありがとう、翼」





二菜が、楽しそうに一条と電話している。


…あんまりいい気分ではない。

長話の後、



「うん。式には来てね。バイバイ」

と最終的に二菜から電話を切った。


そのままこっちを向き、嬉しそうに



「翼が、招待状届いたよって。

おめでとうって言ってくれたよ」



なんて言う。

呑気なやつだ。



「ふーん」



二菜は眉を寄せ、それからすぐに
理由を察知したらしい。


呆れたような表情を浮かべる。



「もう翼のこと許してよ。
今は彼女だっているんだし」


「分かってるけど、俺の何かがあいつを許さない…」


「大人気ないよ、先せ」


「翔悟」



遮って二菜をじろりと睨む。



「そう呼ぶって決めたろ?
子どもが困惑しちゃうから」




その言葉に

二菜はニコッと笑い自分のお腹に手を当てた。



その笑顔に、俺もさっきまでの焼き餅が吹っ飛んでしまう。









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