生きたくなんてなかった

2




「なあ、先生?」


「なんだ?」


「俺はいつになったら退院出来るんですか?」


あれからまた1ヶ月経った。


体力はとっくに戻ってるのに、退院できずにいた。


「発作が来なくなったらだな」


発作…


要人の前で倒れてから結構定期的に起きている


あいつらの前では堪えてるけど…


最近は、波が大きくなってる気がする。


「そういえば、綾女はまだあそこから出れないんですか?」


「そうだな…
こればっかりは綾女の精神的問題だからな」


要人は数日前から集中治療室に入っている。


ドナーが見つからない恐怖に、負けたんだ…


俺はその事に気づいてやれなかった。


要人が苦しんでた事に…







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