生きたくなんてなかった
目を覚ましてすぐの頃のおれはかなり荒れていたと思う。
周りは知ってるのに自分だけは何も知らない
そのどうとも言い表せない孤独感が、底知れぬ闇に俺を突き落とした。
そこから救ってくれたのがあいつだったんだ。
「なぁ、お前名前は?」
正直初めはうざかった。
なんど突き放しても、ケロッとした顔で話しかけてくる要人のことが。
なのに、知らず知らずのうちに俺はあいつの傍に居ることが多くなっていた。
土足のまま俺の中に入ってくるそんな無責任なやつかと思ってたら
実は固かった土を少しずつほぐして、当たり前のようにその場所に入ってきた。