生きたくなんてなかった
「あ、恭乎っ!
遅かったね、何の話だったの?」
紀本が聞いてくるけど
「秘密だ」
なんて言って笑った。
「な、二人とも。
柚のことこれからも頼むな?」
真剣な顔で言う俺を不思議そうに見た二人だったけど
「「あたりまえっ!」」
笑ってそう返してきた。
……あと少しの間だけど。
心のなかでそう呟いた俺に気づかず。
「さんきゅー。
さて、そろそろ戻るか」
「そうだなっ!」
「柚ちゃんまた明日ね」
「明日も来る気かよ!」
「「もちろんっ!」」
はぁー
ま、いいか。
柚も賑やかな方が嬉しいだろうし。
なんて、思いながら病室を後にした。