生きたくなんてなかった
当たり前のように、自分の病室には戻らずあの場所へと向かう。
紀本は治療の時間だから戻っていったけど…
「なあ恭乎」
「ん?」
二人になると、急に真面目な感じで話しかけてきた要人
まるで自分の話をしてくれたあの時のように…
「俺受けないからな」
それだけ言って顔をこっちに向けたあいつはなんでも分かってるような目をしていた。
「なんのことだよ」
とぼけてみるけど、駄目だろうな。
なんでこいつはこんなにも鋭いんだか…
「どうせ、柚ちゃんの骨髄を俺にって思ってるんだろ?
そんなの俺は嫌だから」