生きたくなんてなかった
Side 要人
恭乎が1人で柚ちゃんのところに行ったから、俺は柚とあの場所に向かった。
「なあ柚。
お前も気づいてるんだろ?」
花に水をやってるあいつは、俺の方を振り返った
そんな柚に一瞬ドキッとする。
「恭乎が柚ちゃんを生かさないって決めてるってこと?」
あいつも分かってたんだな。
多分恭乎は必死に隠したつもりだろうけど、結構バレバレなんだよ。
だから、俺達は毎日のように柚ちゃんの病室に足を運んでるんだ。
「今の恭乎には柚ちゃんしか家族がいない。
それなのに、たった1人の家族まで居なくなったら、恭乎はどうなるんだろうな…」
俺は1人になってその孤独感に心が潰れそうだった。
病気のこともあった分、それは大きくてあんなことをやっちまったけど…
「自分の判断で妹を…
それってどれくらい辛いことなんだろうな」
「多分、それは私たちには分からない。
でも、あいつは1人じゃないって私らがいるよって教えてやらないとダメになる気がする」