生きたくなんてなかった
「先生、お願いします。
綾女を、要人を助けてください」
頭を下げた。
すると先生はなにも言わず、一枚の紙を渡してきた。
同意書
移植手術をすることに、賛成します
その紙の一番下の欄…
ここに名前を書く
それだけの行動なのに、怖くて
手の震えが止まらなかった……
「いいんだね?」
再度確認してくる先生に首をふるだけの返事を返すことが精一杯で
書き終えた
橋本恭乎の名前は
ふにゃふにゃした字になっていた。