生きたくなんてなかった




目を覚ました時聞いたのはそんな言葉だった気がする。


まだ朦朧とする意識の中で聞いたから、正直あんまり覚えてない。


でも、要人の言葉と父さんの言葉を胸に俺は今生きている。


衰弱していた体を動かすために、リハビリを繰り返し


食べる


その根本を拒否していた体に、食べる事を受け入れさせる。


辛いし


何度もやめたいと思った。


でも、そんな時には必ずあの二人がそばにいてくれたから頑張れた。


生きたいって


そう思えたんだ。




暫くたつと要人は退院の目処が立ち始めていた。


でも、あいつには家族がいないから


その事を話してる要人はあまり嬉しそうじゃなかった。









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