生きたくなんてなかった



最近紀本の病気のことを聞いた。


既に要人には話してあったそうだが、俺に話すタイミングを逃していたらしい


話してくれようと思ってくれていた事が嬉しかった。


「妊娠することまで諦めたのに、治らない。
ましては別の場所に転移し、余命宣告を受けた…」


涙を流すとかはなかったし、死を受け入れてるように淡々と話していた。


「本当は普通に恋をして、結婚して。
子供を産んで母親になりたいって思ってた…
だけど、もうそれは叶わない」


余命………


2年半



長いとも短いとも言えないこの時間を、出来るだけ紀本のそばにいてやりたい。


そう強く思ったんだ。


そのことを言うと、要人もそう言ってくれたっと笑っていた。










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