生きたくなんてなかった
2
Side 要人
「恭乎」
俺の数歩前を歩くお前
自分の妹の命と引き換えに俺を生かしてくれた
お前は俺のことどう思ってるんだ?
たまに思う。
もし、あのタイミングで倒れなければ、柚ちゃんの骨髄をドナーとしなくても良かった。
恭乎はあんな選択しなくてもすんだんじゃないかって。
だけど、お前に話したら
「違うっていってんだろ?」
いつだって、そう笑いながら返してくるよな
最後に目を覚ました柚ちゃん
おにぃ
呟き、まぶたを閉じた。
その時気のせいかも知れないけど、柚ちゃん俺の方を見て笑ってくれたんだ
まるで生きてって言ってくれてるみたいに、
ピー
響き渡った電子音を聴きながら、
俺はこの兄妹に救われた
改めて思い知らされたんだ。
なのに柚ちゃんの死で自らを攻め続けてるあいつに、俺は何もしてやれなかった