生きたくなんてなかった
1
あっという間に過ぎようとする半年…
風呂上がりに、テレビを見てる俺の横に
「なぁ恭乎」
さっきまで風呂に入ってた要人が腰を下ろした
「ん?」
返事をしながらも顔はテレビ
「後半月だよな」
半月…
やってテレビから目線をはずす
「要人は紀本話すのか?」
「…あぁ、話す」
「そうか…」
会話が途切れ、居間にはテレビの音だけが響く
後半月
それは紀本の余命
結局なにも出来ないまま月日は流れていた。
紀本に恋してること
そのことは要人に話した、あいつからも予想通りの返事を聞くことになったけど。
心の中に渦巻いてた想いは、何気ない生活のなかで少しずつ消えようとしている。
「あいつは、俺らの二人とも選ばないんだろうな」
ポツッともらした言葉に
「そうだな」
要人が返事を反す。