生きたくなんてなかった
何時間経っただろう
集中治療室は静かになっていた。
「ごめん」
「謝らなくていい」
「うん、でもごめんね」
「だからあやまるなって!」
先生や看護師は部屋を出ていった
紀本の命はまだこの世に繋がってる
でも、それは脆い糸
いつ切れても可笑しくない…
「謝らなくていいよ。
紀本が俺らのこと考えてそうしたってこと分かってるから。」
「ふっ。
全てお見通し?」
僅かに浮かべた笑顔
「な、紀本。好きだよ」
ーーー
空気が固まる
「き、恭乎!?
今のどうゆうこと…」
「お前が、紀本柚が好きですってことだけど?」
あー、俺なにいきなりコクってるんだ?
口ではあんなことを言いながらも、心のなかではそんなことを思っていた。
本当はもっと違う言い方をするつもりだったのに、出たのはそんな言葉だった
「…待て、恭乎。
抜け駆けはずるくねーか?
柚、俺だっておまえのこと好きだから。」