生きたくなんてなかった




要人まで告白し、部屋の空気はますます可笑しくなった。


「ちょっとまって!
二人とも本気なの?」


「「なにが?」」


「私はもうすぐ死んじゃうんだよ?」


「「だから?」」


俺と恭乎は顔を見合わして吹き出す。


「お前が死ぬ?
だからなんだよ」


「なんだよって…」


「紀本がもし明日死んだとして
それは俺や要人がコクっちゃいけねー理由になるのか?」


「それは…」


例え明日いなくなるとしても、好きだということが変わるわけじゃない。


それなら伝えるべきだ


そう思うのが普通だろ?


困惑してる紀本に説明する。


「でも、私は…」


それでもまだなにか言おうとするから


「紀本、お前要人が好きだから、俺に遠慮してるのか?」


耳元で紀本にだけが聞こえるように囁いた。








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