生きたくなんてなかった
さ、どこに逃げたんだ?
なんて考えなくてもどこか分かってるから、まっすぐその場所に向かう。
「お、恭乎到着」
「やっぱりここか」
見渡す限り花に囲まれたこの場所。
俺が来る前に、綾女と紀本が二人で花を植えて育てたんだって言っていた。
まあ、嘘だと思うけど。
「あれ?
そういえば紀本はどした?」
「あー
あいつはいつものだよ…」
「そっか…」
紀本も綾女も病人だ。
綾女の方はドナーさえ見つかれば治るらしいけど、紀本は一生治らない…
本人は笑ってるけど、結構きつい治療を受けてるらしい。
今もその治療を受けに行ってる。
「ゴホゴホッ…」
!?
「は?
おい、綾女!?大丈夫かよ」
「ゴホゴホッ……」
綾女の背中を擦ってやる
「おい、大丈夫か。
綾女、綾女…、要人……」