お前は僕の所有物…【BL】
今、薫が何を思って
何を引きずっているのか
僕にはわからない…


「僕はね欲張りなんだよね」
「なんだいきなり」
「だからいつか薫を手放さなきゃいけない時がくるかもしれない」

このまま薫を僕の側に置いてちゃいけないと思う時がくるかもしれない…



「そしたら、利明」
「なに?」
「薫とその弟を頼むよ」
「はぁ?無理だろ!仲良くもねぇし!」
「仲良くなっといてよ
無表情でも絶対に怒っちゃダメだよ」


そう、多分絶対に手放さなきゃいけない時が来る。

初恋は実らない。
良く言うじゃないか…

父親の後を継いだら、
薫に構ってる暇は無くなるしね…
その間に
薫に笑顔を取り戻してもらわないとね…

キーンコーン…

「じゃあ、薫の所に行ってくるよ
サボり楽しかったよ」

そう言って千佳花は屋上を去った。

俺はその後ろ姿を見て
ギュッと拳を握った。

【どうやっても手に入らない…】

その思いが心を支配する…
でも、あの時もうケリは付いてるからな
執着しても千佳花が困るだけだし…

千佳花の望みを叶えてやるか…
そう思いながら
伸びをして俺は屋上を出た。
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