お前は僕の所有物…【BL】
『気の迷いだよ』

冷たかった…
今の言葉と、発した時の目が冷たかった

俺は佐賀さんが出て行った方向を見て
暖かい左手を握った。

「気の迷い…か…」

忘れてる事がある…
とても大事な事…

思い出したいのに思い出せなくて
苦しくて…モヤモヤする…

「薫君、やっほー!」
「水野先生…」
「暗いねーどうしたの?」
「いえ…なんでもないです」
「あっ…」

俺が微笑むと
水野先生は驚いた顔をした。

「どうかしましたか?」
「ううん、なんでもないんだ!
気にしないで!」
「?」

俺は深くは聞かない事にしたが
佐賀さんが気になって仕方がなかった。

「水野先生」
「なぁに?」
「佐賀さんと俺は知り合いなんですか?」
「知り合い…そうだね…」
「なんで…佐賀さんは
あんな辛そうな顔をしたんですか?」
「薫君!落ち着いて!
ゆっくりでいいんだよ!」

聞きたい事があり過ぎて
俺は…取り乱してしまった。
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