お前は僕の所有物…【BL】

ずっと…握っててくれたのかな…
左手が凄く温かった…

何度も何度も握っては佐賀さんの
温もりが消えないようにしている俺。

でも佐賀さんとは面識がなかったし
どこで出会ったのかすら謎だ。
佐賀さんの事が知りたい…
声が聞きたい…
俺はそう思いつつ
ぎゅっとクマの縫いぐるみを抱いた。

「薫…まだ起きていたのか…」

・・・あれ?

「佐賀さん!?なんで…
面会時間は過ぎてるのに…」
「水野と僕は仲がいいの、心配しないで」

佐賀さんは、俺のベッドに腰掛けた。

「表情が別の意味で戻ったね…」
「はい…?」
「なんでもない…」

ほら、またその顔…
悲しそうで切なそうな顔…

『気の迷いだよ』

そう言った時と同じ顔をしている…
だからほっとけない…

「千佳花…」
「なに…?」

チュ…

重なった唇
驚いた佐賀さんの顔。

改めて考えると…

「何してるんでしょうね…俺は…」
俺が視線を逸らすと、
佐賀さんが顎を持ち上げ…
「キスでしょ?」と言った。
「!?」

さらっと言う佐賀さんの顔が
一瞬悪魔に見えた。
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