バカビト
意味が分からなくて、私も何故かされるがまま。


「なんで?」

「なんか、可愛くて」

「はぁ?」

「圭、気が付いる?俺、圭が大好きなんだよ」

「え…」

「女の子として、好きなの」

「嘘だ」


私がそういうと、央詩は抱き付くのを止めて、私の顔を覗き込んで来た。


「嘘じゃねぇよ」

「だって…」


そのまま黙ることしかできなくて下を向くと央詩が無理矢理、私の顔を上にあげた。


「央詩!?」

「俺は、お前だけの王子だったらそれで良い」

「…歯が浮く」

「圭、まじめに!!」

「はい…」


怒られてシュンとするけど、私は今、それどころじぁない。

央詩に告られた。
パニックになりすぎて、その場から逃げることしか思いつかなかった。


「あ、ひーちゃんが私を呼んでいる」

「は?」

「き、聞こえる…行かないと!!」

「は、え…圭!?」


全力で走る。
階段で転びそうになりながらも、教室まで必死に。

ただ、私は逆切れするカタチで教室を飛び出したことを忘れていた。
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