バカビト
「ひーちゃん。助けて!!」

「あんた、王子にちゃんと謝ったの?」

「逆に謝って欲しいよ~」

「は?」

「助けて~」


ひーちゃんにギュッと抱き付く。
何なの?と、ひーちゃんは私の顔を覗き込む。


「王子と何かあったの?」

「う、や…あの、」

「告白されたとか?」


その言葉で顔が真っ赤になる。
ひーちゃんはそれで、何があったか察してくれた。


「王子もやっと言ったか…」

「え?」

「王子はずっと、圭が好きだったんだよ。圭は何て返事したの?」

「…逃げて来た」

「はぁ!?」


ひーちゃんが、目を見開く。
私は何となく、申し訳なくなって下を向く。


「圭も好きなんでしょ?」

「…うん。でも央詩いかなりキス、してくるから…」


何故か泣きそうになって、ひーちゃんにもう一度しっかりと抱き付く。
その時、央詩が教室に帰って来た。

私は逃げるように、ひーちゃんの胸に顔を埋める。


「王子、キスまでしたの?」

「ひな子がやれたらやれって言ったんだろ!?」

「え、ひーちゃんそうなの?」
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