アイドル目指します!
ガラッ
「「「すみません、遅刻しましたー!」」」
「おぉ、おはよう。さっさと席着けー!」
「「「はーい」」」
担任にそう言われて自分の席へと歩く。
…本当はサボリたいけどね。
だって………
隣りが上沢だから…。
「今日の1時間目は数学だぞー!準備しておけよ!」
えー…。数学、嫌いー…
「なぁ、幸村。」
数学の授業、潰れたらいいのにとか本気で思ってたら上沢に話し掛けられた。
……さっき、ムカついたから無視しよ。
「なぁー、幸村〜?」
無視、無視。
「なぁ。…理穂。」
ドキッ
……ちょっと待てあたし!
上沢相手にドキッってなによドキッって!
「…理穂って呼ばないで。」
「だって、幸村が無視するから。」
「だからっていきなり名前呼びしないでよ!
「別にいいじゃん。……もしかして、ドキッとした?」
「な…っ」
そう言って笑う上沢を見てまた、ドキッとする。
…ああ、もう!今日のあたし、変!
「で、よ、用はなによ?」
「数学の教科書、忘れたから見せて。」
「嫌。」
「ええっ!?」
上沢は裏切られた!みたいな顔をして大袈裟に落ち込んでいる。
…やっぱり、上沢は上沢だね。
「理穂ちゃん!お願い♪」
……そう言って首を傾けた上沢が可愛く見えたあたしは重症かもしれない。
「分かったから…顔が近い!どけて!」
「え〜。…やだ。」
「おい、そこのバカップル!授業始めるぞ!」
「カップルなんかじゃなああああぁい!!」
教室にあたしの叫び声が響いた。