日々共に一緒に笑おう


「イベントくらい、いいじゃないの」

ウチなんか、もう6年も帰って来ないよ?



「……え?」


ねぇ、ワタル? と笑いながら息子を見た女性に、少年は肩をすくめる。


「たまーに……1年に1回帰ってくるだけだね」


やっぱり仕事でね。
お盆休みの代休を、秋に取って、ちょっと顔見せてさ。

ひたすら食べて、寝るだけのひとだよ、と。


しょうがない旦那だよね、と笑う女性は、早く食べないとゴムみたいになるよ、と、雅に串を押し付けた。



外は、未だ激しい雷雨。

急に鳴り出した着信に、濡れに濡れた携帯を、取り出した。


着信名は、“鷹野さん”。

潜められた声は、きっと仕事中なんだろうと思う。


真っ黒い雲がそっちに見えるけど大丈夫か、と。

ちゃんと、誰かと一緒にいるのか、と。


ひどく心配そうに、囁く声に。


なんだか、とても馬鹿な事をした、と雅は。

そう、感じた。
 



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