日々共に一緒に笑おう


蜜さんが引っ越した先は、職場の社宅、と聞いていた。

倉庫の上で、すごいチープな作りなの、と笑っていた顔が。
久し振りに、とても楽しそうだったから。

紹介してくれた人が隣にいてくれるから、安心なんだよ、って。

とても、嬉しそうに笑っていたから。



私はてっきり。

蜜さんは、すっかり失恋から立ち直って、新しい恋を見つけたんだ、って。

思っていた、のに。






『雪音ちゃん……ごめん、ね。哲が…怪我…して』

映画、行かれなく…なっちゃったの。
ごめんね、ごめんね連絡遅くなって…。




もうすっかり支度は済んでいたのだけれど。

蜜さんの声が、震えていて。

ひどい怪我なのか訊いた私に対して、蜜さんは。


指が、二本…、と声をつまらせた。
 


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