日々共に一緒に笑おう
その後、佐伯さんがどうしたのかは解らない。
私は、遠慮なく団長にナポレオンパイを奢って貰いながら。
「高崎さんには悪いけど…私、蜜さんがどうして、佐伯さんとお付き合いしないのか…わかりません」
佐伯さんも…、どうして…。
だってあんなに…お互いに…。
様子を見合ってたって仕方ない気がするのに。
団長は、面白そうに目をしぱたかせると。
それはね、木下さん、と。
お行儀悪く、頬杖を突いたままコーヒーカップに、唇を付けた。
「あれは赤い髪の彼の、手管なんですよ」
「…手管、ですか?」
蜜サンは…以前の失恋で、本当はかなりの男性不信と男性恐怖症になってますしね?
高崎のように、わかりやすい態度で攻めたら、逃げられてしまう。
だから。
「何もはっきりさせず、逃げる理由も作らずに、彼女が自分だけを信じるように、仕向けてるんですよ」