日々共に一緒に笑おう
中庭は、秋明菊が咲き誇っている。
白と、ピンク。
さほどの広さはないものの、しっとりと湿度を含んだ土の匂いは、新しい。
先月、“ちゃんと面倒みますから”の約束のもと、張られていたコンクリートを剥がして、“直植えできる庭”に作り替えた、ばかり。
置かれたテーブルと椅子は簡素だけれども、キャンプ用のプラスチック製などではない。
「…どうぞ」
「ありがとう」
前回、何をされたのか忘れようもない雅は、格子のこちら側に入れてしまった彼に、急に緊張したようにおずおずと、濃いコーヒーを差し出した。
「この前のさくらんぼは、分けて貰えたかな?」
「あ…はい、冷やして頂きました」
わざわざ、椅子を近くに寄せて、座るように促す龍司に。
本当は、そのまま宇田川さんにあげました、とは言えないまま、雅は、さり気なく別の椅子へと、腰を下ろした。