日々共に一緒に笑おう
半ば脱け殻となった俺に気がつかない、彼女。
はっとしたように、俺に視線を寄越して、口を噤んだ、同僚。
「コータさん、早く早く」
じゃあまた~、と同僚に手を振った彼女の。
無邪気な……今となっては罪深いほどに無邪気な、顔は。
仕事上の付き合いのある人と、成り行きで一緒に昼食をとることに、性別が関係あるもんか、と。
そう言っている気が、した。
「カキフライ、好き?」
「はい!」
仕方なく、俺は。
とりあえず、彼女の手料理を食べた、という事実だけを胸に。
いろいろと幕を引かなくては、ならないらしい。
実は何も始まってはいなかった、という事実は、なんだかとても気恥ずかしいけれど。
次からも、品物は。
彼女が来てから用意しようと。
そう思う。
~おわり~