日々共に一緒に笑おう
ただ、真っ直ぐに、歩く。
腕を、掴まれたまま。
私は痛いとも言い出せなくて。
ちらりと、赤い髪から覗くピアスを見上げた。
何を怒っているのか、表情は堅い。
「……アイス、食う?」
「え?」
突然訊かれた事に、頭がついて行かなかった。
だって、あんなに綺麗な、赤い髪のボーカリストが。
怒ってるみたいに、ぐいぐい引っ張ってた、ひとが。
気まずそうに視線を泳がせて、アイス屋の前で立ち止まるなんて。
「…食う?食わねぇ?」
「……買ってくれるなら」
ん。
じゃあ…どれ?
と。
ようやく唇の端を上げたような気がした赤い髪は。
店の前に出されたメニューと私とを、見比べた。