日々共に一緒に笑おう
赤い髪の、ボーカリスト。
“哲さん”。
「なんで“哲さん”なの?」
呼びにくいよ、言いにくいもん。
「言いやすく呼べば?」
唇のピアスは、この前よりもはっきりと笑みを浮かべる。
赤くてキラキラしたイクラの粒の乗ったご飯を、思い切り良く口に運ぶ彼は。
この前のアイスクリームよりは、イクラの方が遥かに好物なんだろう、と思われた。
「哲」
「………」
「ああ、これなら言いやすいかも」
哲。
哲。
…うん、言いやすい。
「ねぇ、哲」
「……なに」
「あれ……“哲”は駄目?」
駄目じゃねぇけど…と目を逸らした彼は。
で、なに。と、またひとくち、イクラの乗ったご飯を、口に運んだ。