最愛HONEY
最愛HONEY

私の旦那さま




「…あ。西野さん、それが終わったら上がって大丈夫よ。」


入力が終わって、それをプリントアウトした書類をファイルに閉じて…

いつもの作業を終えたところで、“先輩”の佐々木さんが戻ってきた。


「え…?でも、まだ…」


時計を見れば、きっかり定刻を指してるけど…

確か、ラストの仕事はまだあったはず。


「ああ、大丈夫。あとは私がやっておくから…と言っても、ここを片付けるだけなんだけどね。」


ふふっと笑いながら、佐々木さんが指差したのは受付周りのデスク。

やたらテキスト類が散乱してるのは、ついさっきまでいた中学生集団のせい?

……まぁ、いいや。



さすが佐々木さん。


私が書類作りに戸惑ってる間に、他の仕事はすべて終わらせてくれたらしい。

本当に尊敬するなぁ…

私も早く、1人でもこなせるようにならないとね。


「お言葉に甘えて…。お先に失礼しますっ」


感謝しつつも、私は荷物を持って急いで立ち上がった。

目指すところは…


「…あ、そうそう。“塾長”は、まだ部屋で仕事してたわよ。」


走り出した私の背中に、親切すぎる佐々木さんの声が響いた。

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