最愛HONEY



……来たっ!



えっと、書類書類…

さすが佐々木さん。
ほとんど完璧に用意してくれていた。

それを持って、私は慌てて受付へ走った。


「あの、俺…これからこちらで働かせていただく…」

「はいっ。お待ちしていました!」


受付にいたのは、スーツ姿の男の子。

さっき、履歴書をちらっと見たら私と同い年だったっけ。


ぱっと見、バッチリ決まってるように思えるけど…

着慣れていない感がにじみ出てるところが、いかにも“大学生”っぽい。


やっぱり、龍ちゃんのほうが断然カッコイイ…って、そんなことはどうでもよくて…


「研修初日ですよね?とりあえず、こちらに…」


私の仕事は、教育担当の先生が来るまでに事務手続きを済ませること!

ちゃんとやらないと…


……ん?


事務室のドアを開けて、中へと促した…のに。

男の子は一向に動こうとはしない。


それどころか、

なぜか、じーっと。
私のことを見てる…?


……何?

私、どこか変?
何かやっちゃった?


不安になってきて、自分で自分の身なりを確認していると…



「……ナオ?」


ふいに、彼が口から漏れた声。


「…え?」

「ナオ、だよな?」


< 12 / 57 >

この作品をシェア

pagetop