最愛HONEY



ヤマトは、

中学時代の友達、だ。



友達と言っても、同じ学校だとか、クラスメイトだとか…じゃなくて。

“仲間”って言ったほうがしっくり来るのかもしれない。



――あの頃、


私は、まだ全然子供で。

複雑な家庭環境についていけなくて…


家を飛び出して、夜の街に逃げ込んでいた。


行き場がなくて、フラフラと彷徨っていた私に1番最初に声をかけてくれたのがヤマトで。

私の1番の友達になった。


同じような傷を抱えた仲間たちと過ごすことで、私の心はだいぶほぐれていったけど…

そんな生活も、長くは続かなかった。


1人、また1人…

みんな家に戻って行って…


ヤマトも、

親の都合で街を出て行くことになって…



1人になって、どうしようもなくて…

とんでもない失敗を犯しそうになった。


あのまま行けば、私は未だに、ヤマトの言う“世界”にいたと思う。

今みたいに“まっとうな”生活は送ってなかった。


私が今、ここにこうしていられるのは…



あのとき、

龍ちゃんが助けてくれたから、なんだよね。



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